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正弦定理の証明がわかります!

正弦定理は高校の数学で学習する基本的で重要な定理です

ただ正弦定理を使って解く問題というのは山ほどあって大学入試においても基本的な大学から難関大学まで幅広い大学で出題されています。

入試でも人気の定理なのですね。

そんな正弦定理について見ていきましょう。

三角形ABCがあり角A,B,Cの向かい合う辺の長さをそれぞれa,b,cとします。

f:id:ecole2:20181105045836j:plain 

さらにRを三角形ABCの外接円の半径として、このとき成り立つ次の等式を正弦定理と呼びます。

{\displaystyle\frac{a}{sinA}}{\displaystyle\frac{b}{sinB}}{\displaystyle\frac{c}{sinC}}=2R

この定理はどのように証明するのでしょうか。以下、3つの場合に分けて、次の(1)が成り立つことを示します。

2R={\displaystyle\frac{a}{sinA}}‥‥(1)

1. ∠BAC<90°のとき

図のようにBSが直径となるようにSを円周上にとります。

f:id:ecole2:20181204103102j:plain

このとき、∠SCB=90°

よって a = BC = BSsin∠BSC = 2Rsin∠BSC

一方で円周角の定理より、∠BAC = ∠BSC

そのため a = 2Rsin∠BSC = 2Rsin∠BAC となり(1)が成り立ちます。

2. ∠BAC=90°のとき

f:id:ecole2:20181105050336j:plain

このとき、BCは円の直径となるので、2Rsin∠BAC = 2R = a.

よって(1)が成り立ちます。

3. ∠BAC>90°のとき

図のようにBSが直径となるようにSを円周上にとります。

f:id:ecole2:20181204103206j:plain

このとき ∠SCB = 90°

円に内接する四角形の向かい合う角の和は180°なので ∠BSC = 180 ° -∠BAC

よって sin∠BSC = sin (180 ° -∠BAC) = sin∠BAC

そのため 2Rsin∠BAC = 2Rsin∠BSC = BSsin∠BSC = BC = aで(1)が成り立ちます。

以上によりすべての場合において、すなわち角Aの大きさに関わらず常に(1)が成り立つことが示されました。

{\displaystyle\frac{b}{sinB}}=2R、{\displaystyle\frac{c}{sinC}}=2R

も同様にして示される、すなわち角Bや角Cの大きさに関わらず常に成り立つことが示されるので正弦定理が証明されました。

では続いての証明です。

まずは角Aが鋭角の場合です。

三角形ABCの外接円の中心OからBCへ垂線を下ろし、交点をMとします。

円周角の定理より∠BOC=2Aなので∠COM=Aです。

よってsinA=sin∠COM=MC/OC=a/2÷R=a/2R

a/SinA=2Rとなりました。

次に角Aが直角の場合です。

これは先ほどの証明と同じようにして

2RsinA=2Rsin90°=2R=BC=a

a/sinA=2Rとなります。

そして角Aが鈍角の場合です。

OからBCへ垂線を下ろして交点をMとします。

∠BOCの大きい方の角度(三角形BOCの外側の角度)は円周角の定理より2Aです。

よって∠BOCの小さい方の角度(三角形BOCの内側の角度)は360°-2Aです。

なので∠BOM=180°-Aでsin∠BOM=sin(180°-A)=sinAであり

sin∠BOM=BM/BO=a/2÷R=a/2Rなので

sinA=a/2Rでa/sinA=2Rとなります。

以上により角Aの大きさに関わらずa/sinA=2Rが成り立ちます。

角B,Cも同様なので正弦定理が示されました。

ここで、数学の実力をもっとつけたいという方は以下の動画を見てみましょう。

同じように三角関数を使う問題ですが、今度は計算に着目した、基本的でありながら重要な問題です。

タイトルが英語で表示されるかもしれませんが動画中には英語は出てこないのでご安心ください。

ここからは正弦定理をどのように使えばいいのかを見ていきましょう。

AB=6,CA=3√6,∠Bが60°のとき∠Cは何度でしょうか。

c=ABとb=CA、そして∠Bがわかっていて∠Cを求めたいのですね。

b/sinB=c/sinCを使いましょう。

b=3√6,sinB=√3/2,c=6なので

3√6/√3/2=6/sinC

6√2=6/sinC

√2=1/sinC

sinC=1/√2

0°から180°の間でsinC=1/√2を満たすのは45°と135°なのですが

ここでBの大きさに着目したいと思います。

いまBが60°なのでCは120°未満でなければなりません。

よってCは45°となるわけです。

では次の問題です。

AB=6,CA=3√6,∠Cが45°のとき∠Bは何度でしょうか。

いま解いたばかりの問題と比べてみると

ABとCAの値は全く同じでさらに∠Cが45°というのは答えで出てきた角度ですね。

なので∠Bも同じ60°のはずでこれが答えだと言いたくなりそうです。

しかしそうなのでしょうか。

実際に問題を解いてみましょう。

c=ABとb=CA、そして∠Cがわかっていて∠Bを求めたいわけですから

今回も正弦定理を使います。

b/sinB=c/sinCで

b=3√6,c=6,sinC=sin45°=1/√2なので

3√6/sinB=6√2

√6/sinB=2√2

√3/sinB=2

sinB=√3/2

となりました。

ただ今回は∠Cが45°なので∠Bは135°未満ですが

sinB=√3/2を満たすBとして

60°と120°の2つが条件を満たします。

よって答えは60°と120°になります。

60°だけじゃなかったのですね。