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角の二等分線定理にこんな面白い証明があるって知ってました?

三角形があってその中の1つの角を二等分する線が引かれているとき角の二等分線定理が役立つことが大いにあります。そんな角の二等分線定理とはいったいどのような定理かと言いますと、

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三角形ABCがあって∠BAD=∠CADとなるようにBC上に点Dをとるとき、

AB:AC = BD:CD

が成り立つという定理です。この定理を使って図形の問題を解くという場面は結構よく出てくるので角の二等分線定理は知ってる、使ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。今回はそんな角の二等分線定理の面白い証明をご紹介したいと思います。まずは三角形の相似を使った証明です。

直線ADに対して点B、Cから垂線を下ろし、直線ADとの交点をそれぞれP、Qとします。

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このとき、∠BAP=∠CAQ、∠BPA=∠CQA なので三角形ABPと三角形ACQは相似となります。よって、AB:AC=BP:CQ

一方で∠BDP=∠CDQ、∠BPD=∠CQD なので三角形BDPと三角形CDQは相似です。よってBP:CQ=BD:CD

以上によりAB:AC=BD:CDとなります。

今の証明は三角形の相似を2回使うことがポイントでした。では続いて三角形の面積に着目した証明を見てみましょう。点DからAB、ACにそれぞれ垂線を下ろし交点をE、Fとします。

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このとき∠DEA=∠DFA=90°、∠DAE=∠DAF、DAは共通で、「直角三角形で斜辺とひとつの角が等しければ合同」なので三角形DAEと三角形DAFは合同となります。よってDE=DF。さて、ここで三角形ABDと三角形ACDの面積比を考えたいと思います。

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まず、AB、ACをそれぞれ底辺とみたとき△ABD=AB・DE・1/2で、△ACD=AC・DF・1/2ですがDE=DFなので△ABD:△ACD=AB:AC。一方でBDとCDを底辺とみたとき高さは共通なので△ABD:△ACD=BD:CD。以上によりAB:AC=BD:CDとなります。

続いて以下のyoutube動画に進みましょう。

https://youtu.be/q6Q-I32jFg8

ここまで角の二等分線定理の証明を行ってまいりました。

直角三角形の相似を考えたり合同を考えたりしてどのような直角三角形を作るのかが異なっているのが注目すべきポイントだと思います。

このように図形の問題ではどのような観点から見るかによって使うべき道具も様々で、そのことがいろいろな数学の問題を解いていく上での醍醐味といえるのではないでしょうか。

同じような醍醐味を得られるものとしてはチェバの定理の証明もあります。

この証明も今回の角の二等分線定理と同様に異なる観点から考えていくことで定理そのものをより一層理解することができるようになっています。

非常に面白い証明だと思いますのでぜひこちらのページをご参照ください。

チェバの定理の証明します、2通りで! - 学びをつづる

また、図形の問題では三角関数を使った計算と相似などの性質を組み合わせて解いていくことがよくありますが、そうしたときに知っておくと役立つ定理としましてはまず正弦定理があります。

図形の学習を行う上で基本的な定理となるわけですがそんな正弦定理がどういった定理なのか、また正弦定理の証明はどのように行えばよいのかについては下のページが参考になることと思います。

正弦定理の証明がわかります! - 学びをつづる

そのほかに役立つ公式といたしましては2倍角の公式、3倍角の公式も挙げられます。

こちらの公式はどのようなものかと言いますと、角度が2倍や3倍になったときに三角関数の計算をスムーズに行うことができる公式となっています。

3倍角の公式はたまに使うことがあるかなという感じですが2倍角の公式は数学の問題を解いていく上で結構頻繁に出てきて図形の問題はもちろん計算主体の問題などいろいろ場面に応用可能な公式ですのでぜひとも下のページをご参照ください。

角の二等分線定理や正弦定理と同じく、公式そのものを知るだけではなく証明も合わせて学習することで公式を理解しやすくなると思いますのでとてもためになるはずです。

三角関数の2倍角の公式、3倍角の公式の証明 - 学びをつづる

今回は角の二等分線定理というまさに図形について考えていたわけですが、こうした図形の問題を解いていく上では数式の計算問題の学習も重要です。

なぜなら図形の問題ではしばしば辺の長さや面積を求めよという問いが出題されますが、そうした場面において数式の計算を正確に行えるかどうかによって正しい答えが導けたり問題を解くスピードをアップさせたりすることができるからです。